2018/09/01
危険な法律相談
前回の危険な知識についてお話しました。
間違った知識が頭に入ると、それを元に人生の大きな決断をしてしまし、
人生に大きな痛手を被ることになる。
そして、それは他人を通して入ってくるので、鵜呑みにしやすく、
それが間違った知識であることに気づきにくい。
そういうお話でした。
前回は、我々法律に関する仕事をしている者は、間違った知識を与えないために慎重に
話しているということも書いたのですが、今回は、それにも限界があるという話です。
今、様々な所で行われている法律相談。
市町村の広報紙等を見れば、毎月どこかで、無料の法律相談会が開催されていることが分かります。
私自身も相談員として、色々な場所で相談を受けています。
相談は、1人30分と決められていることが多く、相談を始めて30分後には、次の相談者が待っている状態です。
私達相談員は、法律相談で30分という時間は、とても短く感じています。
相談者の話を聞いて、状況を把握し、それに対して的確な回答を出さなければならないのですが、
状況の把握だけで大きく時間を割いてしまい、相談員が話す時間がほとんどなくなったということも、
よくあるのです。
それだけでなく、相談者の方が持ってこられた資料が不十分で、答えを出すために必要な情報が得られない
ことも多くあります。
相談内容に対して、的確な回答を出すには、状況の把握がとても大切です。
相談者のお話を十分にお聞きしなければ、回答が出せないので、しっかりお話をお聞きしたいのですが、
聞いているだけでは、相談者は、自分の悩みに対して、何らの回答も得られず、不満になります。
相談員は、そのジレンマで苦しんでいます。
ここまでお読みいただければ、お分かりと思いますが、危険な法律相談とは、無料の30分の法律相談のことです。
時間が短く、十分お話も聞かないまま、とりあえずの回答を出してしまい、間違った回答を聞いてしまう。
そうして、間違った知識を入れてしまい、間違った決断をしてしまう。
それが、一番、危ないのです。
そのようなことを相談過誤といいますが、相談員側も相談過誤の危険性は十分認識しているため、最新の注意を払っています。
しかし、それにも限界があると思いますので、30分の無料法律相談は、あくまで参考にする程度にとどめ、
何かの決断を行う場合は、是非、法律事務所や司法書士事務所に出向いて、しっかり時間をとってお話を聞かれた方がいいと思います。
ちなみに、法律事務所では、30分5000円程度の時間制の相談料になっていることが多いと思いますが、安く済ませるため、30分に収めようとかは、考えないでください。
また、危険な法律相談になってしまいますから。
そういった理由で、当事務所では、相談料を時間制にはしていませんし、制限時間も設けていません。
毎月の相談会では、込み合うこともあるため、制限時間を1時間にさせていただいています。
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