2018/09/27
相続関連
相続した不動産は、共有にしてはならない
みんなで仲良く、共有にしておく。
一見、相続で争うことなく、良い解決をしたように思えます。
しかし、それが問題を引き起こすことがあります。
事情次第ではありますが、共有にすることは以下の理由でお勧めできません。
1 共有していると、売却や賃貸が難しい
共有していると、売却するときや、賃貸するときに、他の共有者と意見を統一しなければなりません。
片方が売りたくない、貸したくないと言えば、売れませんし、貸せません。
意見があっている間は良いのですが、意見が合わなくなると、動かせない不動産になってしまいます。
状況は、変わっていきます。
仲の良い兄弟でも、時間がたてば、意見が割れることもあると思われます。
2 売却するにしても意見の統一が必要
売却する場合、どの仲介業者に任せるのか、いつ売るのか、いくらで売るのか等の売却条件について共有者間の意見の統一が必要になります。
3 売却する手続きを共有者全員で行う必要がある。
売却する場合、仲介の契約、売買の契約、登記手続の全てで、共有者が全員で行う必要があります。
共有者がそれぞれ遠方に住んでいると、それらの手続きが大変です。
4 兄弟姉妹での共有は、相続で解消されない
両親が亡くなり、子供2人が相続しました。
子供たちは、仲良く相続した不動産を共有することにしました。
その後、年月が流れ、子供の一人が亡くなります。
その子供には、配偶者と子供2人いたとすると、不動産は、3人の共有ということになります。
兄弟は、子供がいると相続する関係にないため、相続で共有状態が解消されることはないのです。
むしろ、相続で共有者が増え、余計に売却等の意見の統一が難しくなることになります。
5 贈与での共有状態の解消も難しい
相続で解消されることがないとすると、共有状態をやめて一人が所有するには、どうしたら良いでしょう。
考えるのは、一人の持ち分をもう一人にあげれば良いと考えるのではないでしょうか。
しかし、それがとても難しいのです。
2人の兄弟が不動産を共有にしたとします。
時が流れ、兄弟のうち、兄がその家に住むことを決めたため、兄一人が所有することを決めたとします。
弟の持ち分を兄へ移転しなければならないのですが、無償であげるのであれば、兄に贈与税がかかることになります。
贈与税は、とても利率が高いため、不動産を贈与しようとすると、数十万円、数百万円の税金となります。
6 売買での共有状態の解消にはお金が必要
先の例で弟の持ち分を兄が買うことにしたとします。
売買にすれば、贈与税はかからない・・・と考えると、それは間違いということになります。
兄弟間での売買は、時価額で売買しなければならないとされています。
時価額を下回る価格で売ると、買った兄が時価との差額をもらったもの(贈与)とみなされ贈与税が課税されます。
時価額を上回る価格で売ると、売った弟が時価との差額をもらったものとみなされ、贈与税が課税されます。
そこで、時価額で売るとなると、不動産の金額ですので、それなりの高額となります。
その金額を兄が出せるかが問題になるのです。
以上のような理由で共有にすると、不動産の処分が難しくなり、共有を解消することも難しくなります。
できるだけ、相続が生じた段階で、誰か一人のものにすることを目指す方が賢明です。